BIKE-FIT 熟成
今年の6月から始めたフィッティングですが、何名かの治験者の協力などを経ながら自分自身の技術を高めるべく取り組む中で生じていた疑問がありました。
それは、確かにアメリカのBikeFit Systems社の理論を学び、その通りに正しくフィッティングをしているはずなのですが、ときどき測定値に、うん?というような極端な結果がでてしまうことがあることです。例えば左足の内反が非常に大きくてクリートウェッジを4枚も追加しなければならないみたいなケースです。当然いきなり4枚も挿入すると違和感は大きいので、お客様から「変です」とのフィードバックを得ると、とりあえず2枚にとどめたりします。
もし、4枚追加することが正しいということを何らかのデータで示すことが出来れば自分も自信を持って薦められるし、お客様も納得して頂けるでしょうし、又、2枚と4枚でデータに差が出なければ、無理して理論通りに無理やり余計なものを挟む必要もなくなるのではないかと悩んでいました。
そこで、例えばパワーメーターのようなものを使ってフィッティングの前後で「ほらこんなに差が出たでしょう?」というように数値とかで示せれば良いと考えたのですが、それほど単純に効果が出そうにないケースや、それどころかパフォーマンスは一時的に下がることも分かっているので何かもっと良い測定手段か計測器はないかと思案していました。
そんな中で知り得たのが米国RacerMate社のコンピュートレーナという機械でした。
この装置は本来はトライアスリートなどが室内でのバイクトレーニングに使用するための機械で、模擬コースを画面上に映し出しながら負荷が自動的に変化するというものですが、数ある機能の中にスピンスキャンというペダリングを解析してくれる機能があり、それに着目したのです。
このスピンスキャンを使うと、ペダリング時、出力の左右バランス、左右それぞれのペダリング効率、15度刻みでのクランク位置におけるトルク分布が判ります。当然、フィッティングをしてポジション変更を行い、フォームに関するアドバイスもすれば、これらの数値は改善されるはずです。
この測定値をよりどころにすることで、外観だけに頼り、結果として間違ったフィッティングをしてしまう危険性も排除出来ます。少し値段が張る機械なのですが思い切って導入しました。
そして、今日、当店のクリートフィットを一番に受けてくれた協力者(いつも本当に快く協力してくるので大助かりです)に再度協力をお願いして、このコンピュートレーナを使ったBIKE-FITを実施しました。
さて、再度フィッティング台に乗ってもらった結果、前回のフィッティングで左右の脚長差を調整したり、内反角の調整をしたにもかかわらず、左右のアンバランス(左が使えていない)が大きい事、左ひざが円軌道トレースから明らかに外れているなどの異常を発見し、この原因がクリートのずれによることであることを発見し、それを元通りに修正することで明らかに測定グラフ上での変化(改善)を確認出来ました。
コンピュートレーナのスピンスキャン機能が極めて有効にフィッティングに生かせることを確信しましたので、明日正式に新BIKE-FITを世に発表することにします。←大袈裟(笑)